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Interview -片岡朋子さん‐

Interview -片岡朋子さん‐

2019年8月、札幌文化芸術劇場hitaruで開催されたオペラ「トゥーランドット」の現場に、インターンシップとして5名の学生を迎えました。仕込み初日から公演・撤去まで、舞台、照明、音響の各セクションに分かれ、普段は目にする機会の少ない様々な作業を間近で体験するなど、濃密な1週間となりました。

今回は、彼らの母校である学校法人経専学園 経専音楽放送芸術専門学校の片岡朋子先生にお話を伺いました。

 

- インターンシップとして学生を送り出すのは、学校としても初の試みだったとのことですが、始まる前はどのようなイメージをお持ちでしたか?

本校では、全学生が一律に参加するインターンシップ制度を設けていないため、就職前の企業実習やアルバイトとして現場に参加させていただくことが主となっておりました。「トゥーランドット」公演の際お声掛けいただき、劇場公演の現場に学生を参加させていただけることを大変光栄に思いました。大きな劇場で、搬入から搬出まで一連の流れをプロの方々にご指導いただきながら学ぶ機会を頂戴した感謝とともに、多くのスタッフが関わる大舞台に、経験のない学生が入ることは、現場の皆様にとって負担になるのではないかと考えておりましたが、劇場の皆様が学生の学びにご協力くださり、大変貴重な経験になったと思っております。

 

- 実際にインターンシップ制度を利用してみていかがでしたか?

期間中、私が現場を訪問した際、スタッフの皆様が学生に対し親切丁寧にご指導くださる様子を拝見し、感謝の気持ちでいっぱいでした。現場にいる学生たちの表情もイキイキしており、逞しさも感じ、送り出すことができて本当に良かったと思いました。

 

- 大掛かりな舞台美術のあるオペラ公演の仕込み・撤去は危険な作業も多く、プロのスタッフでも気の抜けない現場です。学生さんも緊張しながらの数日だったと思いますが、無事に終えることが出来て私たちも安堵しています。インターンシップ前と後で、学生さんに変化はありましたか?

そうですね。参加後の学生は、自信がついたように感じました。実習授業の際には、指示を待つのではなく、自ら率先して作業に取り組み、講師に対して積極的に質問する様子が見られるようになりました。志が高くなったのだと思います。それは他の学生にも大変良い影響をもたらし、クラス全体の意識向上が見られました。

 

- それは嬉しい変化ですね。現場を体験して、実際に自分が作業することへの責任が芽生えたんでしょうか。これまで実施していた企業実習やアルバイトと比較していかがですか?
今回のインターンシップは、アルバイトでは経験できないことが多々あったと感じています。それは、アルバイトでは見ることができない視点から現場を見られることです。ライティング専攻の学生は、照明スタッフの視点だけでなく、進行スタッフとしての視点で舞台を見ることができるようになりました。その時間や機会をいただくことは、仕事として参加しているアルバイトでは難しいのかもしれません。

 

- 確かに、アルバイトでは指示された任務を果たそうと精一杯で、新しいことを覚えたり質問したりする時間はないですよね。劇場での仕事に興味を持ってくれた学生さんが実際に体験することで、厳しさや楽しさ、面白さに触れ、この仕事への理解を深めてくれることがインターンシップの大きな魅力ですね。今回、1年生2名、2年生3名の参加でしたが、先生から見て、どの学年での参加がより有効と感じますか?

授業カリキュラムとの兼ね合いなど、どちらにもメリット・デメリットあると思いますが。
結果としては、劇場スタッフの皆さんが学生の習得度に合わせた指導をして下さったので、どの学年でも有効だと感じました。実際、1年生、2年生それぞれに新しい学びがあり充実した研修になりました。
1年生は舞台に上がること自体が初めてで、見るもの触れるもの全てが初体験という状況でしたが、そういう学生に対しては基本的な部分から教えていただき、また、多少知識のある2年生に対しては、もう少し踏み込んだ内容を指導していただきました。

 

- 今後、インターンシップ制度の活用が増え、企業側でも学校側でも現場や学生に負担のないシステムが導入されるようになるといいですね。

実施時期としては、夏休みや冬休み、春休み等のタイミングにマッチできると授業カリキュラムを気にすることなく参加させていただけるかと思います。もちろん現場のスケジュールがあってのことですが、学校としても、このような制度を設けていただけるのは大変有り難いことなので、現場の皆様にご迷惑お掛けしないよう、舞台に携わる者を送り出す使命として、礼儀や舞台用語など、最低限の基礎を教えてから送り出したいと考えています。

舞台業界を目指す学生たちが、実際の現場に入らせていただけることは本当に貴重な経験です。このような経験を積んだ学生が社会に羽ばたき、現場で活躍して後輩を指導する立場になって欲しいと思っています。

 

そうですね。インターンシップ制度は、受け入れ側にとっても自分たちの仕事を客観視できる貴重な場です。こういう機会が増え、新たな人材を育成する基盤が整っていくことは、業界全体の活性化にも繋がります。今後も様々な状況を踏まえながら良い連携体制が築ければと思います。

本日はありがとうございました。